地図表現の重要性

地理的な認識や思考の過程は、どのような表現手段で記録され、伝達されたのでしょうか。オーストリアのある地図学者は、次の五つの表現を挙げています。

① 文章的textlich

② 数的・表的zahlenmasig、ta bellarisch

③ 図解的graphisch

④ 地図的kartographisch

⑤ 画像的bildhaft

このうち① は自明であろう。②は統計表あるいはグラフ(ダイアグラム)の形で表現されるこ

とが多い。①は例えば海抜高度と植生・農業の関係を示す模式図や、カナートの断面図などを

指す。④は今回扱おうとしている地図である。⑤ はスケッチなどを含むが、現実には写真という形をとることが多い。

何らかの事象を地図に表現することは、文章的表現の単なる補助手段ではない。地図に表現すること自体が、地理の学習や研究調査の重要なプロセスとして位置づけられるべきである。

 

地図の分類

次に、地図とは何か、ということを考えるために、地図はどのように分類できるかを検討し

てみよう。

第一に、作成法によって、 実測図と編集図に分けられる。現在のわが国では、国土基本図や2万5千分の1地形図が実測図であり、そのほかの多くの地図は、それをもとに編集した編集図である。

第二に、形態によって、平面地区・立体地図・地球儀に分けられる。球形をなす地球の表面をどのようにして平面的な地図の上に表現するかは、大きな問題で、その解決のためにさまざまの投影法が考案されたのであるが、直接的で最も明確な解決は地球儀である。夏と冬の太陽の高さや時差・日付変更線などを理解させるにも、地球儀が最もよいと考えられます。もう少し小さな地域の地図では、山地・丘陵などの高さをどう平面図上に表現するかが大きな問題である。立体地図(地図模型)はその直接的な解決であって、通常は高さを平面距離の数倍に誇張した比率で表現する。

第三に、体裁によって、 Map(図葉)とAtlas(地図帳・地図集)とに分けられる。アトラスというと日本では通常製本された地図帳を意味するが、製本せずに箱の中に入った地図集でもよい。諸外国のナショナルアトラスにはそういう体裁のものが少なくない。

第四に、色彩によって、単色図と多色図とに分けられる。このいずれであるかによって表現

できる内容に大きな違いがある。

第五に、縮尺によって、大縮尺図・中縮尺図・小縮尺図に分けられる。国土地理院では、1万分の1以上の地図を大縮尺図、 1万分の1未満、 10万分の1以上を中縮尺図、 10万分の1未満を小縮尺図と呼んでいる。

第六に、 内容によって、一般図と主題図とに分けられる(その違いについては、次節で多少詳しく述べる)。

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